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南昌便り① 南昌の第一印象


 小生、さる1月4日に羽田を発ち、中国江西省南昌市というところに来ています。ご承知の方も多いかと存じますが南昌市は20年近く前に高松市と姉妹都市縁組を結んでいて、その関係の相互交流プロジェクトの一つとして南昌市民に 日本語を教えるボランティア派遣が10数年前から営々と続けられています。

 高松から3カ月おきに派遣される人が南昌市民で日本語を学びたい希望者(学びたい理由は様々のようです)に初歩から或いはもう少しレベルの高い内容を教えています。故あってこのプロジェクトに参加することになり、3月末までの3ヶ月間の予定で単身参りました。

 出発の当日(1月4日)、羽田から搭乗予定の飛行機が来ないというハプニングに始まり、上海虹橋で国内線に乗り換えるべく待機していたらまたしても搭乗機が来ないということで、結局南昌空港着が23時半過ぎ、友好会館には日付が変わって到着しました。あとで聞いた話では南昌便は遅れて到着するのが普通なのだそうです。

 南昌市は上海の西南1000キロくらいのところに位置する江西省の省都(県庁所在地)で、人口500万人の大都会です。

 当地には姉妹都市提携直後に南昌市と高松市とが合弁で建てた『南昌高松中日友好会館』という立派な施設があり、宿泊施設もかねています。そこの居室の一つと、そのほかに厨房1室が無償で貸与されており、なかなか快適な住環境です。日本語教室はこの会館内の別の一室で毎日2時間、現在は2人(女子高生16歳、男子大卒無職23歳)の若者に”あ、い、う、え、お50音”からはじめています。

 生徒は2名、23歳の男性・程斐君と16歳の女子高生・楊茜茜さん。二人とも全く日本語経験無しの状態でスタートしました。授業は月曜日から金曜日まで、毎日午後2時間から2時間半程度。日本語、中国語、英語それに手振り身振り何でもありで、時々デッドロックに乗り上げることもありますが”慢慢走”をモットーに進んでいます。二人ともとても素直で積極的ないい子です。

 このプロジェクトの存在はつい最近まで知りませんでしたが、知らせてくれた同窓生のおかげで訪中が実現しました。短い期間ではありますが南昌の若者を始め可能な限り色んな人と交流が出来ればと思っています。

 南昌市自体は2千年以上の歴史を有する街だそうですが、1927年8月1日に周恩来や朱徳などが率いる中国共産党の部隊が蒋介石政権に対して交戦を始めた舞台になったことから中華人民共和国の歴史にその名が刻まれたそうです。
8月1日は中国の祝祭日の一つ(建軍記念日)になっており、また街の主要道路や橋、それに公園の名前などいたるところに”八一”がつけられています(例えば八一公園)。


               八一大橋


       八一広場            八一起義記念館
  
 南昌の町は南北に流れるカン川という長江の支流(支流と言っても大河ですが)により2分されていて、東側が昔から開けて栄えてきた街であるのに対して、西側は沼地だったり不毛の土地だったりした農村部であったそうですが、ここ数年(或いは10数年)のうちに高層ビルやマンションの林立する超近代的な街へと目覚しい変貌を遂げつつあります。そしてそのスケールの大きさ、横浜のMM21の開発区域の恐らくは100倍くらいの規模で開発が進んでいます。

 当地滞在が2週間を過ぎましたが、少し慣れてきました。南昌で一番感じるのは人々の暖かさではないでしょうか。宿舎の近所しかまだ分かりませんが、高松から何年もの間、大勢の方が派遣されて当地で南昌の方と交流を深めた実績、また南昌から高松や香川県内各地へ農業研修や企業研修で何百人(?)もの人が出かけて讃岐生活を体験して戻られたこと等々民間交流の実績がそうさせているのかもしれません。残念なことに南昌からの派遣はこのところ低調になっているようです。ギクシャクした日中関係の反映かもしれません。

 少し様子が分かってきたので宿舎近くの路地にある露店で肉、野菜、卵などを買うこともできるようになりました。文章で話をするのはなかなか難しいですが、単語を並べたり、身振り手振りを交えたりすると結構用は足りるものですね。路地の八百屋のおばさんとは少し友達になりましたし、雑貨や飲み物を買う超市のご夫婦も親切にしてくれます。

 南昌料理は素朴な感じのものが多いみたいですが、とにかく唐辛子が利いていて辛いのなんのって半端ではありません。頭から湯気が出るのなんかチョロイもので、口に入れた途端辛くてむせ返るなんてことはざらです。でもきっと癖になるのではないかと想像しています。


 偶々先週末、前述の八一公園で毎週土曜日に開かれている日語角(日本語コーナー)に参加してきました。30年の歴史を持つ全くの市民の自主活動で、在南昌の日本人や大学の日本語学科の先生や学生、その他色んな形で日本と関わりのある(または過去にあった)人達が毎週集まり、日本語でおしゃべりする一種の野外サロンです。偶々18日には創設者の博さんという81歳になる中国人の方も来ておられました(ちなみに博さんは福島市で生まれ昭和19年に北京へ引き上げるまで少年期を日本で過ごされた方で、大変な親日家です)。日語角には30人近くの人が集まっていました。そして翌日曜の夜、老先生をお迎えして新年会のパーティが開催され、本当に嬉しかったことに小生の歓迎会もあわせてやって下さいました。


       八一公園の日語角(日本語コーナー)風景

 長くなりましたが、滞在2週間で表面的な見方しか出来ていませんが取り敢えずのご報告とさせて戴きます。留守家族や一部の友人たちとはスカイプなる便利なツールを通じて交信しています。こんな風に繋がっていると外地にいても以前とは違い何か安心できるように思います。

 こちらは横浜と比べてやや暖かい感じがします。日本は寒さが続いているようですが皆さんどうぞお元気でお過ごし下さい。

      ・・・1月22日 南昌にて 豊田英紀・・・
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      青山湖             街中のスナップ

 

       縄金塔              八一公園

 

       佑民寺          滕王閣から見た
江と
 
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