東京山麓会 錦秋の古都鎌倉文学散歩
ガイド 浅田昭 幹事 豊田英紀
○ 日時:平成28年11月2日(水) 午前10時集合/午後3時頃解散(鎌倉駅東口)
○ 場所:JR鎌倉駅 西口(時計台広場)
(注)トイレは駅構内にありますので、改札を出る前におすませください
○ 会費:1,000円(通信費・写真代・雑費)+500円(入館料400円・拝観料100円)
受付時に1,500円集金させていただきます。釣銭のないようにご協力を!
(団体割引が適用された場合は、差額は会の預かり金にさせていただきます。)
*交通費・飲食費(昼食は「浜焼き御膳」税込み2,160円で予約)は個人払いです。
「浜焼き御膳」御品書
季節の和え物、お造り(二点盛り)、しらす卸し、浜焼き(海老・帆立・烏賊・カジキ鮪・
キャベツ・えの木・椎茸・玉葱・レモン・バター・卸しポン酢)、季節の蒸し物、
季節のサラダ、白米、香の物、赤出し、水密フルーツゼリー
○コース Tトイレ *平坦で距離も比較的短い楽なコースです
10:00鎌倉駅西口T〜旧平野屋旅館(現「ホテルニューカマクラ」・岡本かの子と芥川龍之介)
〜旧横山隆一邸跡(現「スターバックスコーヒー」・フクちゃん産みの親の人気漫画家)
〜御成小学校正門前(高浜虚子揮毫の門柱)〜吉屋信子記念館(入館)T〜鎌倉文学館(入館・
バラ園散策)T〜旧川端康成邸(非公開)〜甘縄神明神社(川端康成の小説「山の音」の舞台)
〜萩原朔太郎旧邸付近〜由比ガ浜海岸散策(伊豆大島遠望・雨天の場合は中止)T〜鎌倉海浜
公園(江ノ電タンコロ試乗?)T〜芥川龍之介旧居付近〜13:00「KKRわかみや」(昼食・
懇親会)T〜一の鳥居・畠山重保の墓〜14:30延命寺(本堂拝観)〜レンバイ(鎌倉市農協
連直売所)〜15:00鎌倉駅東口T(解散) *二次会希望者は別途ご案内します
鎌倉に多くの文士と呼ばれる作家、評論家・漫画家・詩人・歌人などが集まった理由
@ 江戸時代からの人気観光地で、特に横須賀線が開通し東京から交通至便となったこと。
A 明治中期以後、別荘や貸間が増え、避暑や療養など保養地として人気を博したこと。
B 禅宗寺院をはじめ多くの歴史的な寺社が、知識人を惹きつける要因となったこと。
C 社交家で人脈の広い久米正雄、里見クらが主義主張を超えて鎌倉ペンクラブを創設した。
(本日案内:登場人物の主なプロフィル)50音順
芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)
1892(明治25)〜1927(昭和2)小説家・東京生まれ・東大卒。横須賀の海軍機関学校の
教師時代、由比ガ浜に下宿。大正7年、1年ほど材木座で新婚生活。12年夏、鎌倉駅近く
の平野屋に逗留。夏目漱石に師事。久米正雄らと第三次・第四次「新思潮」創刊。主な作品
に「鼻」「地獄変」「羅生門」「河童」「玄鶴山房」「歯車」等。自殺。俳優・演出家の芥川
比呂志は長男、作曲家の芥川也寸志は三男。
岡本かの子(おかもと・かのこ)
1889(明治22)〜1939(昭和14)小説家・歌人・東京生まれ。大正12年夏、鎌倉駅
近くの平野屋で芥川龍之介と出会う。その体験をもとに小説「鶴は病みき」を執筆。
「明星」「スバル」に短歌を発表後、小説家へ転身。華麗な文体で横溢する生命力を描
いた。歌集「かろきねたみ」、小説「母子叙情」「老妓抄」等。漫画家の一平は夫、画家
の太郎は長男。
川端康成(かわばた・やすなり)
1899(明治32)〜1972(昭和47)小説家・大阪生まれ・東大卒。昭和10年、浄明寺に
転入。12年、二階堂へ。21年から没年まで長谷に居住。「文芸時代」創刊に参加。
新感覚派の代表作家となる。戦後は日本美の伝統を継ぐ姿勢を強くした。
「山の音」「千羽鶴」等、多くの作品で鎌倉を描いた。他に「伊豆の踊子」「雪国」
「眠れる美女」等。昭和36年文化勲章受賞。
昭和43年日本人初のノーベル文学賞受賞。逗子の仕事場でガス自殺。
高浜虚子(たかはま・きょし)
1874(明治7)〜1959(昭和34)俳人・小説家・愛媛県松山市生まれ・二高中退。
明治43年から没年まで由比ガ浜に居住。正岡子規に師事。子規以後の俳壇の最大の
指導者。俳誌「ホトトギス」に参加、のち主宰。客観写生、花鳥諷詠を唱える。句集
「虚子句集」「五百句」、小説「鶏頭」「柿二つ」「俳諧師」等。昭和29年文化勲章受賞。
俳人、高浜年尾は長男。俳人、星野立子は次女。
永井龍男(ながい・たつお)
1904(明治37)〜1990(平成2)小説家・東京生まれ・昭和9年、二階堂に転入。
28年から没年まで雪ノ下に居住。「黒い御飯」で菊池寛に認められ、文芸春秋社に入社、
「文芸春秋」編集長を務め、芥川賞・直木賞の「育ての親」に。都会の人情世界を描く。
主な作品に「一個」「青梅雨」「朝霧」「コチャバンバ行き」等。短編に本領を発揮した。
鎌倉文学館初代館長。昭和56年文化勲章受賞。久米正雄とは義兄弟(夫人の長姉が
久米と結婚)で二人は文士時代、行動を共にすることが多かった。
萩原朔太郎(はぎわら・さくたろう)
1886(明治19)〜1942(昭和17)詩人・群馬県前橋市生まれ。大正5年、療養と
「月に吠える」編集のため坂ノ下に滞在。同14には材木座に1年間居住。北原白秋主宰
の「ザンボア」に詩を発表、室生犀星らと親交を結ぶ。詩集「月に吠える」「青猫」
「純情小曲集」「氷島」、詩論「詩の原理」、アフォリズム集「新しき欲情」「虚妄の正義」
など。平明な詩語による感情の率直な表現を主張、近代的な口語自由詩を日本の詩風土に
定着させた。(アフォリズム:人生や社会などに関する断章風の評言。警句・格言・金言)
三島由紀夫(みしま・ゆきお)
1925(大正14)〜70(昭和45)小説家・劇作家・東京生まれ・東大卒。「鎌倉文庫」の
文芸誌「人間」で文壇にデビュー。中村光夫、吉田健一らと「聲」の編集同人に。
「海と夕焼」で湘南の海の情景を描いた。小説「仮面の告白」「美しい星」「豊穣の海」
「潮騒」「金閣寺」、戯曲「鹿鳴館」「サド侯爵夫人」など。唯美主義と古典主義を統一し、
華麗で知的な逆説に富む作風を確立。自衛隊市谷駐屯地で割腹自決。
吉屋信子(よしや・のぶこ)
1896(明治29)〜1973(昭和48)小説家・新潟県生まれ・栃木高女卒。昭和19年、
長谷の高徳院大仏裏に一時疎開。37年、現在、吉屋信子記念館になっている長谷の屋敷
に居住。「花物語」で認められ少女小説作家として登場。「女の友情」が大ヒット、新聞
小説「良人の貞操」等で大衆文学の人気作家に。「屋根裏の二処女」「安宅家の人々」
「鬼火」「徳川の夫人たち」「女人平家」等。42年に「半世紀にわたる読者と共に歩んで
衰えざる文学活動」に対し、菊池寛賞を受賞。「太閤北政所」を構想中に病魔が悪化、
ガンのため鎌倉恵楓園病院で死去。晩年を過ごした自宅は数寄屋建築で著名な吉田五十八
の設計で、死後鎌倉市に膨大な資料蔵書と共に寄贈された。生涯、独身であった。
横山隆一(よこやま・りゅういち)
1909(明治42)〜2001(平成13)漫画家・アニメーション作家・高知県高知市生まれ。
昭和12年名越に一時住んだが、戦後御成町に没年まで居住。昭和7年近藤日出造、
杉浦幸雄らと漫画集団を結成、昭和11年から朝日新聞に「フクちゃん」を連載し、
一躍有名となった。他に「デンスケ」「ペ子ちゃん」「百馬鹿」、アニメ「おんぶおばけ」
「ふくすけ」等、随筆も多く書いた。平成6年、漫画家として初の文化功労者に選ばれた。
漫画家横山泰三は実弟、画家横山ふさ子は三女、漫画家近藤日出造は義弟(妹の夫)。
旧宅跡にはスターバックスが開店し、横山邸のプールや庭が保存されている。
(参考)鎌倉に住み、或いは滞在した主な文人(50音順) 最近、活躍の方を除く
芥川龍之介・有島生馬・有島武郎・池田克己・石川淳・石塚友二・泉鏡花・伊藤左千夫・
犬養健・江藤淳・円地文子・大岡昇平・太田水穂・岡本かの子・荻原井泉水・尾崎喜八・
大佛次郎・海音寺潮五郎・葛西善蔵・川口松太郎・川路柳虹・川田順・川端康成・蒲原有明・
北畠八穂・北原白秋・北村透谷・木下利玄・草間時光・国木田独歩・国木田虎雄・
久保田万太郎・久米正雄・倉田百三・厨川白村・胡桃沢耕史・黒沼健・小島政二郎・
小杉天外・後藤宙外・小林秀雄・小牧近江・今日出海・佐佐木信綱・ささきふさ・
佐佐木茂索・佐藤正彰・里見ク・志賀直哉・四賀光子・渋澤龍彦・島木健作・島崎藤村・
神西清・菅忠雄・千家元麿・相馬黒光・高木彬光・高橋和己・高橋元吉・高浜虚子・高浜年尾・
高見順・高山樗牛・竹山道雄・太宰治・立原正秋・田中純・田中英光・谷崎潤一郎・田村俊子・
田村隆一・津村信夫・徳富蘇峰・直木三十五・永井龍男・中里恒子・長田秀雄・中原中也・
中村光夫・中山義秀・長与善郎・夏目漱石・西田幾多郎・西脇順三郎・野上弥生子・
野口冨士男・野村胡堂・萩原朔太郎・長谷川如是閑・花田清輝・林房雄・林不忘・久生十蘭・
日夏耿之介・平出修・広津和郎・広津柳浪・深田久弥・舟橋聖一・星野立子・星野天知・
堀辰雄・堀口大學・真杉静枝・松本たかし・真船豊・三島由紀夫・水上瀧太郎・宮本百合子・
三好達治・武者小路実篤・村松梢風・村山知義・森田草平・森田たま・八木重吉・山口瞳・
山崎放代・山内義雄・山本周五郎・湯浅芳子・夢野久作・横溝正史・横山隆一・与謝野晶子・
与謝野寛・吉井勇・吉田健一・吉野秀雄・吉屋信子・
【参考文献】「かまくら文壇史」・「鎌倉入門」・「鎌倉の文学小事典」(かまくら春秋社)、
「かまくらで文学を考える」(愛育社)、「鎌倉文士前夜とその時代」(鎌倉文学館)、
「鎌倉文学散歩」(保育社)、「文士の愛した鎌倉」(JTB)、「日本語大辞典」(講談社)