「高松市への報告(2015年2月)」

於南昌市・活動報告書

                         第46期生 村杉 喬

1)派遣期間 2014年9月30日~12月27日 
 故郷高松を離れ横浜市在住半世紀余の私に、今次格別のご配慮で中国南昌市派遣をご承認いただいた高松日中友好協会様に心から感謝しております。

2)派遣目的 
 中日友好会館受講生への日本語指導と一人でも多くの中国の人達に日本人・日本国・日本文化を啓蒙し併せ草の根レベルだが日中友好の活動を心掛ける。

3)派遣前準備
 私は日本語指導経験がない・中国語が話せない・71歳と若くない、まさにヘレンケラー状態でした。そこで、①日本語講師養成講座受講(3ヶ月間)②横浜市内日本語学校に於ける教育実習(7ヶ月間)等の事前準備を履行お陰で南昌での任務を果たす事が出来ました。

4)中日友好会館受講生日本語指導
 午前授業9:30~11:30・午後授業2:00~4:00

■周 さん(18歳)平成27年4月高松穴吹BC留学予定 10/10~12/25日間指導
 みんなの日本語初級Ⅱ26課~50課までの復習と会話力向上・日本に於ける生活慣習等指導

■劉 さん(20歳)江西科技学院 4年生 就職予定 11/1~12/25日間指導
 敬語・ビジネス文章・会話・卒論指導・今後の人生指南

■馬冶 さん(22歳)江西師範大学外国語学院 4年生 平成27年北京国際関係学院大学院
 入校予定、11/1~12/25日間指導 日本語専門八級受験対策・卒論指導・人生指南

■李 さん(22歳)重慶理工大学 卒業 平成27年4月 東京目白大学留学予定
 12/1~12/25日間指導 みんなの日本語初級Ⅱ途中~50課まで・会話力向上指導

5)八一公園日語角(日本語コーナー)期間中11回参加
 来南直前の市役所職員対象日本語学級の閉鎖は大変ショックでした。又勢い込んできただけに会館受講生も一人と少なく正直がっかりしました。しかし来南の目的は日本語指導だけでなく、草の根の日中友好活動もあると思い直し、青空教室日本語コーナーでの大学生との相互交流に活路を見出しました。多くの大学生や日本語講師(日中双方)との触れあいの中で、私の人生やビジネス社会での経験を是非講演して貰いたいという要望が強い事も知りました。教育者には経験し得ない実業の世界、戦後の荒廃からいち早く立ち直り今日のような平和で民主的な、しかも世界に類を見ない高度経済成長を遂げた日本の戦後の歩みを自ら体験してきた私の人生は、学生にとり知りえない世界で大変興味深く認識したようです。蛇足ながら八木日本人教師と会館宿泊時夜を徹して語り合ったハプニングも貴重な体験であった。

6)外事弁公室との交流
 トップを交えた歓迎会送別会3回 館長・副館長との食事会10回 廬山・景徳鎮一泊旅行
その他市内籐王閣・八一記念館観光等至れり尽くせりの厚遇を受け恐縮しております。取分け張・毛館長・副館長には朝食の差し入れ、昼食・夕食同行、会館・自宅での手料理、景徳鎮での心からのもてなし等情に厚い中国人に改めて驚嘆した。

7)一般市民および学生との交流
 日語角での歓迎会・送別会 日本人会の送別会 大学教授自宅等での食事会3回 日語角支援Gとの会食 館長自宅会食 大学講演・講義後の慰労会10回 学生との食事会15回 送別会7回その他酒が飲める特技を最大限活用し学生諸君の人生指南・日語角リーダーの御意見役・実業家からの顧問要請等影響力を発揮できた事。

8)大学での講演・講義・唱歌指導・スピーチコンテスト審査委員
 6大学延べ12回に及び在南昌想定外なるも最高の活動舞台となった。

■大学での講演会は豊田先生から聞いており、日中友好の目的に適う活動と興味を持っていた。日語角で知り合った財経大学の陶教授からの依頼で11/5日最初の講演“私の人生を振り返る”“戦後日本は世界に類を見ない急復興を何故成し得たか”“その時代背景と主たる要因に就いて”というテーマで行う。口コミで各大学から要請あり財経大2・旅遊商貿大・農業大・師範大・東華理科大2・師範大国際教育院等でも実施。

■講義については農業総合大学の袁教授からの依頼、損害保険という実業界で40年間培った知識体験は大学教授の比に非ずとしてごり押しされる。専門用語もあり通訳を介したが事前準備資料により意外と理解を得られ財経大学でも金融経済専科生を対象に行う。

■江西師範大学では丁教授からの要請で4年生を対象に“企業の求める人物像を知ろう”“企業が求める人材は私の経験則からいっても自分で考えて行動できる人に他ならない。”というテーマで就職指導を行う。

■歌唱指導は農業大学商学院の1~2年生対象 袁教授のピアノ伴奏 唱歌(故郷)(赤とんぼ)(シャボン玉)(春よ来い)と(なごり雪)を詩心や時代背景説明も含め実施。

■審査は農業総合大“商学院杯”争奪スピーチコンテストで17名の出場者に対し3分スピーチと質疑応答の総合点で競う、中国南昌の地でこんなに流暢な日本語が聞けるとは思ってもみなかった。

9)その他感想・要望も含めて

1)南昌には本来活動以外に中国の抱える問題点 (貧富の差の拡大)(少子高齢化)(民族問題)(PM2.5や食の安全)(影の銀行)(言論弾圧)(歴史問題)(領土問題)etcの実態把握を問題意識として持っていたが理解深まる。

2)姉妹都市提携目的等の全体像や歴史的変遷も知らず、ただ日本語講師としての役割しか認識していなかったので、正直受講生一人の当初段階では失望落胆感大、

3)姉妹都市の友好促進に日語角の果たす役割は極めて大きいが、創設者博堅先生の功労者表彰を高松市でできないものだろうか?平成27年3月に30周年記念式典計画中

4)南昌の大学で日本語を学んでくれている学生数が2500名を超えると聞いたが、彼らの就職先が全くなく卒業後日本語を使う機会がないと嘆いている、人材派遣会社設立構想あり何か支援活動が出来ないだろうか?

5)南昌市の大学には日本人教師少なく協会派遣講師への期待は大きい、もう少し各大学への積極的関与を深めれば会館で少人数対象に日本語指導するより日中友好の輪が広がると感じた。

6)南昌の日本語を学ぶ大学生は短期間でもいいから日本へ行ってみたいという希望者が多い、短期ホームスティ制度の検討をぜひお願いしたい。

7)横浜の日本語学校の教師の多くは、海外での活動を希望している。高松でもそういう人は多いと思うので在高松日本語学校へ働きかければ日本語講師応募者は増える筈。

8)南昌の大学生は中日友好会館の活動を知らない、日本語に飢えている彼らにもう少しPRを強化すべきそうすれば会館利用者は飛躍的に増えると思う。

9)市役所職員対象の日本語学級閉鎖は如何なる理由か知らないが、今後の為にも絶対継続すべきだと信じる。

10)派遣日本語講師46人は全て別人と聞いた、希望者には再派遣の道も検討願いたい。

11)南昌にロータリー支部があるかどうか確認できてないが、友好会館活用の方法を検討すべきと思う。

12)南昌に日本人留学生は沖縄からただ一人と聞いた、高松から姉妹都市事業として派遣を検討すべきではないか・・・

13)多事多難な日中情勢の中姉妹都市提携事業をベースにした、草の根レベルの友好活動の重要性は今後の中国の発展を鑑みるに論を俟たない。南昌市の外事弁公室の方々の我々に対する厚遇はその重要性を認識していればこそと感ずるが、高松市側のスタンスが見えないのがもどかしい。友好会館の寂れ様がその行く末を暗示しているが如く私の眼には映った。提携事業を今後どう構築して行こうとするのか真意を伺いたい?

14)いわゆる嫌中感に就いては、まさに自国の立場に立った自国メディアの偏った報道にかなり毒されている事が良く判った。我々が接した中国の人達は確かに日本語の学習を通して日本への理解が進んだ人たちに相違ないが、それ以外の一般人に就いても一部を除き友好的で情に熱い素朴な人達に他ならないと認識できた。

15)その他 村杉喬君の【南昌便り】というタイトルで以下のURLをクリックして頂ければ覗けます。 http://tokyo36kai.com/20141012murasugi/index.html