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2006.8.27 白馬岳で事故死された竹内芙美代(片桐)様の 追悼式を行う。
ファイル名
:0716_6050.jpg
撮影日時
:2014年7月16日 20時18分56秒
白馬大雪渓落石で女性2人死傷 (北ア北部1カ月で3件目)
信濃毎日新聞 平成18年8月28日(月)
27日午前11時15分ごろ、北アルプス白馬岳(2.932b)の白馬大雪渓中腹で、登山ツアーに参加していた東京都西東京市、主婦竹内芙美代さん(63)と、同市内の女性(58)が落石を受け、竹内さんが脳挫滅で死亡、女性が足や腰に軽いけがをした。
北アルプス北部では、落石により、七月二十九日に針ノ木岳の針ノ木雪渓で二人が死傷、八月四日に鑓ケ岳の鑓沢付近で一人が死亡している。いずれも登山ツアー参加者で、この一カ月のうちに、三件も同様の落石死亡事故が発生する異常事態になっている。
大町署などによると、今回の登山ツアーは、西東京市が出資する同市文化スポーツ振興財団が主催。ガイド、ツアー責任者を含む計二十二人がパーティーを組み、北安曇郡小谷村の宿泊先から日帰りで白馬大雪渓を散策する計画で入山していた。
落石は、目的地の標高約千九百b地点に達し、ガイドを先頭に縦一列になって休憩していた時に発生。正面から直径約一bの石が落ち、列から約一b離れた場所にいた竹内さんら二人に当たった。竹内さんは県警ヘリコプターで大町市内の病院に運ばれたが、即死だった。当時、天候は薄曇りで、山頂付近はガスが濃くよく見えなかったという。
同郡白馬村役場などによると、今シーズンの北アルプス北部は例年より残雪が多く、雪解けのための落石が起きやすい状態になっている。7月22日には、白馬大雪渓上部で大規模な土砂崩落が起きているのが確認されており、村は同月下旬、ルート上に落石注意の看板を設置するなど注意を呼びかけていた。
写真:白馬大雪渓からヘリコプターに引き上げられる落石の負傷者(左)=27日午後0時45分ごろ、倉科光男さん撮影 (略)
過去の事故知らなかった ツアー主催西東京の財団
これまでにもたぴたぴ落石による死亡事故が発生している北アルプス・白馬大雪渓。しかし、ツアーを主催した西東京市文化スポーツ振興財団は取材に対し「過去に死亡事故があったとは全く知らなかった」と述べ、認識の甘さを浮き彫りにした。登山の専門家は「計画段階から危険をはらむ『入山前遭難』の典型だ」と厳しく指摘している。
同財団によると、今回のツアーは「季節のハイキング」の名称で、山歩きの経験を問わずに参加者を募集した。同市で情報収集していた松川聡事務局長は「宿泊先のホテルと相談し、体力的に負担が軽く、安全なコースとして選んだ」と説明。 「想像しなかった事故で残念。亡くなった方には申し訳ない」と話す。
これに対し、県山岳遭難防止対策協会講師の丸山晴弘さん(65)=長野市=は「今年は残雪が多く、雪解けで落石が起きやすいにもかかわらず、主催者側に危険の自覚がなさ過ぎる」と嘆く。ツアー登山の遭難事故が増加傾向にある現状に触れ、「ツアー主催者は人件費を抑えるためガイドを少なくする傾向がある。参加者の体力や経験を不問とする集め方も間題だ」と訴える。
白馬大雪渓では今回を含め、過去十年で少なくとも五件の死亡事故が発生。北アルプス北部では夏山シーズンに入って、土砂崩落や藩石が相次ぎ、落石事故で登山ツアーの参加者計三人が死亡、二人が負傷している。
文部科学省登山研修所の元所長で県山岳協会長の柳沢昭夫さん(66)=北安曇郡池田町=は「白馬大雪渓の周辺はもともと落石が多く、石も大きい」と指摘。「山では常に用心深く、が原則。落石が多い所では周囲に気を配り落石があった場合にどう逃げるか、常に頭に置いておくだけで、かなり被害は違う」と話す。
歩き方についても、柳沢さんは「前の人の足元を見てしまい、周囲への注意が薄れてしまうことがある」と注意を呼ぴ掛け、耳を澄ますことや、落石が多い所ではヤッケを頭にはかぶらずに耳を出すといった細かな対策を挙げている。